男「ゲームが現実になるゲーム機?」天使「そうでーす♪」/後編

※内容がR-18です。天使は特に下ネタを発します。
下ネタが苦手、18歳未満はこの台本を使わないことをオススメします。
元ネタは2chで公開していたSSです。

配役表(4:3:0=7)被り有

ユータ
15年の付き合いがある幼馴染とやっと恋人同士になり、日々を楽しく過ごしていたら突然振られる。
突然のことで、混乱すると同時に落ち込んでいるところにテンシが現れて…。
※ストーリー上名前が必要だったため、男=ユータとなっている。

テンシ
常時ハイテンションの天使。かなりのおバカドジっ子で、ユータを振り回す。
両性具有なため、男でも女でもある。そのため、女性っぽいが胸はまな板。
【ど】がつくほどの変態。下ネタトークが止まらない。
声が高めの男性でも違和感がないぐらいの下トーク。

サトミ
ユータの15年来の幼馴染で、彼女だった。
ユータに突然別れを告げ、他の男へ乗り換える…がまだユータを引きずっている。

ナオヤ
ユータの友人。サトミと並ぶ長い付き合い。

リサコ
ユータの友人。高校に入ってから出来た女友達。
正義感が強く、リーダーシップをとりたがる。

タナカ
普通の男子生徒。アソコのサイズも普通。
彼女なし同盟員。ゲーム屋でバイトしている。

フジタ
ゲームのためなら風呂にも入らない。
典型的なオタクキャラクター。彼女なし同盟員。
本気を出していないだけ。まだ慌てるような時間じゃない。

シイナ
クラスで浮いている無口な女子生徒。図書室に出没する。
他校の彼氏がいた。クーデレ。

アカネ
生徒会の書記をやっている女子生徒。
タナカのバイト先の先輩の彼女だった。ツンデレ。


ユータとサトミの孫。




『』のセリフは外に出ていない声です。脳内や心の中でのセリフです。
配役・??の正体はあぶり出しをするとすぐ下に出てきます。

前編の続きです。あらすじは前編をやってない場合に使ってください。



あらすじ

前回と一緒なら不要

ここから始めるときは
読むことを推奨
(※ユータとテンシ以外)
幼馴染みと付き合っていたのに突如フラれたユータの元に突然天使が!
なんでも、天使が勝手に持ち出した天界のゲーム機のせいで、
幼馴染みのサトミは無意識にユータをフッたと言う。
ゲームにはあらゆる制限がかかり、ゲームを起動した本人にしか辞めることもできないらしい。
テンシとユータは、ゲームを起動した人を見つけるためにサトミを尾行。
突然のゲームイベントによってユータは自分の自由が効かなくなりサトミを襲う。
そんなサトミを助けたのは、もう一人の幼馴染みのナオヤだった。
救ったナオヤにメロメロになるサトミを見て問い詰めると、
なんと天界のゲーム機を使っていたのはナオヤだった…!





テンシ 「それで青アザ一つ追加して帰ってきたわけ? だっさ!」
ユータ 「うるせー、こっちから手出せないんじゃサンドバッグにしかならねぇよ、クソ」
テンシ 「いいじゃん、我々の業界ではむしろご褒美ですよ……冗談だから殴らないで」
ユータ 「とにかく、アイツを殴ろうとすると行動制限がかかる」
テンシ 「つまり、直接脅してゲーム止めさせるってのは無理だねー。
 で、殴ろうとしたって事は、アイツの本心……分かったんだよな?」
ユータ 「あぁ……アレは操られて言ってるんじゃない。 アイツの本心だった……」
テンシ 「ほらほら、泣かない泣かない! キミは泣き虫だなぁ、全く!」
ユータ 「捏造(ネツゾウ)すんな! 全然泣いてねぇよ!」
テンシ 「アハ、照れちゃってかーわいー! んでんで、他には何か言ってた?」
ユータ 「アイツ、ハーレムルートに向かってるってよ。 他の女もオレの物だ、とか」
テンシ 「し、心配しなくても私はキミの物なんだからね……?////」
ユータ 「うるせぇ、捨てるぞ! それで、お前はどうだったんだよ?」
テンシ 「おお! よくぞ聞いてくれました! いやぁ、語るも涙笑うも涙の大冒険!」
ユータ 「涙出るほど大笑いしてんじゃねぇか!」
テンシ 「教えて貰ったナオヤの家にゲーム機、あったよ」
ユータ 「間違いないか? 普通のゲーム機じゃないよな?」
テンシ 「テレビも電源も繋がってないのに動いてたからね。 間違いないでしょ」
ユータ 「それで? なんのゲームだったんだ?」
テンシ 「それがさー、ほら、一応試したけどゲーム機止められなかったじゃん?」
ユータ 「あぁ、やっぱりお前でも止められなかったのか……」
テンシ 「クルクル高速回転してるCDからタイトルを読み取れって無理難題押し付けんな!」
ユータ 「お前なら出来る!」
テンシ 「出来たよ! 同じ速度でクルクル宙を回ってやったさ! こんな風に!」(バサバサ)
ユータ 「なにそれスゲェ! でもなんかキメェ! あと羽根が飛び散るから止めて!」
テンシ 「あ、これ回収してきた羽根です。 羽根くすぐりプレイにでもご利用下さい」
ユータ 「いらねぇよ! それより、タイトルはなんだったんだよ!」
テンシ 「『幼馴染はアナタの事を思うとキュンとしちゃうの』」
ユータ 「……は?」
テンシ 「『幼馴染はアナタの事を思うとキュンとしちゃうの』」
ユータ 「うっわ……ナオヤの奴、ゲーム嫌いとか言ってそんなゲームしてたのかよ……」
テンシ 「ゲーム好きじゃないのは確かっぽいよ? あの部屋、ゲーム殆どなかったし」
ユータ 「おま、漁って来たのかよ……」
テンシ 「すごかったぜぃ? ほら、こんなサトミちゃんのあられの無い写真とか……」
ユータ 「これは……三人で海水浴行った時の……アイツ、盗撮なんかしてたのかよ!」
テンシ 「ざっと見る限り、18禁なのはなかったから安心しなー? 15禁止まりだ」
ユータ 「15禁でも最悪だっての! クソ、アイツマジでぶち殺してやる……」
テンシ 「だから、殴れないっての……んで、調べなくていいのかい?」
ユータ 「そうだった。 ゲームの内容調べなきゃな……おい、タイトル何だったっけ?」
テンシ 「『幼馴染はアナタの事を思うとキュンとしちゃうの』
 ……って何度も言わせんな! こっちが恥ずかしくてキュンとしちゃうの!」





ユータ 「……っと、このサイトなら……」
テンシ 「なにここ。 ストーリーをネタバレするスレまとめ……?」
ユータ 「今からゲームやってる暇ねぇからな。 とにかく全体像を掴む」
テンシ 「なるほどねー。 ストーリーの流れをつかもうってことか、悪くないじゃん?」
ユータ 「お……結構詳しいな、何々……?」
まとめスレ ★幼馴染はアナタの事を思うとキュンとしちゃうの

・ようこルート
主人公のたけしは幼馴染のようこに好きな男が出来た、という話を聞く。
友人である、まなぶ、めぐみと尾行するとイケメンで有名なひとしの影が。
ようこに言い寄るひとしを見るうちに、たけしにようこへの恋心が芽生える。
その翌日、ひとしがようこに告白する様子をまなぶと目撃してしまう。
焦ったたけしは、その後ようこに告白をすることを決意する。
だが、たけしが告白のためようこを待っていると、既に帰ったと聞く。
探しに行くと、まなぶが強引にようこを襲おうとしているのだった。
まなぶもようこの事を好きだったが、ひとしの告白で暴走してしまったのだ。
そんなまなぶを殴り、ようこを救い出すとたけしはようこに告白する。
ずっと好きだった、と……
そして二人は付き合うことになる
その後しばらくデートなどを繰り返し、好感度が高ければハッピーエンド。
ハッピーエンドは卒業式の日に、これからもずっと一緒だ、と二人約束して、手をつないで歩いていく。
バッドエンドは卒業式の日に、違う大学へ行く事になるからと別れを切り出される。
お互い、良い思い出として別々の道を歩いていく事に。
付き合う事になった後、他の女の子全員の攻略フラグをたてるとハーレムルートへ。

・めぐみルート
ようこを一緒に尾行した際、めぐみはたけしがようこを心配する姿に嫉妬を覚える。
しばらくして、それが恋だと気付くとようこを心配しながらたけしと行動を共にする。

……
ユータ 「……なぁ、テンシ……どう、思った?」
テンシ 「クソゲー臭がプンプンするね。 さっきのが山で後は何もイベントなしとか……」
ユータ 「だいたい、このたけしとかまなぶって名前で感情移入出来んのかよ……」
テンシ 「だよな、全く緊張感がないよな……なぁ、まなぶ!」
まなぶ
(ユータ)
「うるせぇ、好きでまなぶ役やってんじゃねぇよ!」
テンシ 「で? ようこはたけしの事思ってキュンとするの? いつ?」
ユータ 「……まなぶから助けた時じゃねぇか?」
テンシ 「別に幼馴染じゃなくてもいいじゃん。 うっわ、無駄な設定!」
ユータ 「そう思わんでもないが、目的はゲームのダメ出しじゃねぇからな?」
テンシ 「私すっかり目的勘違いしてた! あるよねー、クソゲー話で盛り上がるとか」
ユータ 「お前はどんだけ俗な天使なんだよ……」
テンシ 「ま、とにかくだ。 見た感じ後はエンディング一直線なわけだが」
ユータ 「後で攻略サイトも覗いてみるが、残りは消化試合っぽいもんな。 説明適当だし」
テンシ 「でも、こっちとしては厄介だね。 ある意味、勝負がついてしまってる」
ユータ 「ナオヤのあの口ぶりだと、やりこんでるみたいだしな。 ……こんなクソゲーを」
テンシ 「ゲームに詳しくないから、こんなのでも充分楽しんでるんじゃね?」
ユータ 「……とにかく、ナオヤはハーレムルートに入るって言ってた。 ということは、だ」
テンシ 「書いてある通りなら、これから回りの攻略対象の子のフラグ立てに奔走するね
 ということは、サトミちゃんにはあまり構っていられないってことかな?」
ユータ 「……付き合うことになっちまってるけどな」
テンシ 「まぁ、流れ上そこはねー。 でもさ、ほら、そこは手出されないだけマシだから」
ユータ 「ん……待てよ? ……そうか! アイツがゲームを止める可能性があるぞ!」
テンシ 「ふぇ? わざわざ理想的なこの状況を崩すかねぇ?」
ユータ 「あぁ、多分アイツ一度ゲームを止める。 ただし、それがラストチャンスだ」
テンシ 「ふぅん? 何か気づいたようだね。 どれ、ちょっと話してみ?」





テンシ 「……なるほど。 そりゃ確かに止めるわ。 良く気づいた、偉い偉い」(なでなで)
ユータ 「まぁ、確認してみないと何とも言えねぇが。 という訳で、出かけるぞ」
テンシ 「ゃん、まだホテルに行くには早いよぅ……もう少し暗くなってから、ね?////」
ユータ 「アホ! ゲーム屋だ、その幼馴染がなんとかってゲーム買いに行くんだよ!」
テンシ 「エー、こんなクソゲーやんの? もっと面白いの買おうぜ、ドカポンとか」
ユータ 「お前、それこの協力体制をぶち壊したいって宣言か? そうなんだな?」
テンシ 「んじゃ、ジブリール買おう、ジブリール! 見ながらリアル天使プレイ……」
ユータ 「しねーから。 てか、触手とかどうすんだよ、それ」
テンシ 「んー? おやー? なんでジブリールが触手ゲーって知ってるのかなぁー?」
ユータ 「っ! た、たまたまフジタから聞いたことあるだけだ! いいから行くぞ!」
テンシ 「ぶ・ラジャー!」





たけし
(ナオヤ)
「オレ、お前の事が好きだ。 それを伝えたくて……」
ようこ
(サトミ)
「たけし……(涙が溢れ出す)
 私も……私もたけしの事が……好き! 好きなの!」





テンシ 「ふぁー……なぁ、正直な感想、言っていい?」
ユータ 「……言わんでもわかる。 ……メチャクチャつまんねー……」
テンシ 「ストーリーはありがち、山もイマイチ、おまけにシステムも最悪」
ユータ 「キャラのデッサンも狂ってるしな……アイツの感性を疑う
 実際体験してた時はこのイベントかなりキツかったのに……」
テンシ 「やっぱさー、名前大事よ、名前。 たけしじゃなー……
 なー、まだやんの? ぶっちゃけ、寝ていい?」
ユータ 「付き合えよ……こんなの、一人で黙々とやってたら寝落ちるぞ、絶対。
 今日は徹夜してでも、ようこルートとハーレムルート攻略すんだからな……」
テンシ 「このゲーム2週とか、苦行じゃん……
 スキップもないんだよ!? この茶番、もっかい見なきゃいけないわけ!?」
ユータ 「大丈夫、分岐はこの先だからここは見なくていい……」
テンシ 「そういう問題じゃねー! マジクソゲーだこれ! クソゲーオブザイヤーだ!」
ユータ 「分かってる事言わなくていい……なんか楽しくなる事言ってくれよ……」
テンシ 「隣の家に囲いが出来たってねぇ……イェイ、カッコイー!」
ユータ 「帰れ!」





ユータ 「お、終わった……
 起伏のないイベントに、達成感のないエンディング……最悪だった……」
テンシ 「すぴー…すぴー…」
ユータ 「くそ、1週目で脱落しやがって……ふあぁ……眠い……
 おい、ベッドからどけよ……眠てぇ……

 すー……すー……」
テンシ 「すぴー…すぴー…」
ユータ 「ふあぁ……ぁ……寝ちまったのか、オレ……
 ……ムニ?」
テンシ 「……えっち///」
ユータ 「っ! わ、悪い! ……ってか、さっさと脱落しやがって……!」
テンシ 「だってつまんなかったんだもん……ご感想は?」
ユータ 「つまらんかった」
テンシ 「そうじゃなくてぇ……私のちっぱいの、ご感想は?」
ユータ 「つまらんかった」
テンシ 「ブーブー! そこはお世辞でも気持ちよかった、とか柔らかかった、でしょ!」
ユータ 「触りたくて触ったんじゃねぇ…… って、今何時だ!」
テンシ 「ふぇ? 9時過ぎですが、何か?」
ユータ 「何か? じゃねぇ! 遅刻じゃねぇか!」
テンシ 「いいじゃん、サボれサボれー。 どうせ行ったって何もできねーよ?」
ユータ 「……それでもな。 やらなくて後悔する事だけはしたくねぇ」
テンシ 「……カッコいいじゃん? ま、今まさにサトミちゃんとヤらなくて後悔してるけど!」
ユータ 「ク……サトミ取り戻したら最初にヤってやるよ!」
テンシ 「んじゃ、さっさと顔洗って目覚ましてきなー。 顔、パンダだぜ?」
ユータ 「あぁ……テンシ、飯いらねーからな! 絶対作るなよ!」
テンシ 「上島的ネタフリ? どうぞどうぞ、みたいな?」
ユータ 「朝っぱらからそんなコント果てしなくウザいだけだ!」





テンシ 『んで、ゲームの方はどうだったん? 予想通り?』
ユータ 『半分頭寝てたけど、見た限りでは。 感想としては、近年稀(マレ)に見るクソゲー』
テンシ 『ま、過去の名作も今見たらクソゲーだったりするしねぇ……』
ユータ 『いや、あれは過去どの時点においてもクソゲーだと思うぞ……?』
テンシ 『ま、とにかく買っただけの収穫はあった、という訳だ』
ユータ 『クソ、あんなクソゲーの為に来月の小遣いまで使い込みとは……』
テンシ 『しょうがないなぁ……ほら、私が夜の相手してあげるから、風俗代浮かしていいよ』
ユータ 『もともと風俗なんか行ったことねぇよ!』





タナカ 「よぉ、重役出勤だな!」
ユータ 「あぁ、ちょっと寝坊してな……」
フジタ 「フヒヒ、ゲームでもしていましたかな? 目の下が真っ黒でござるよ?」
ユータ 「徹夜でな……幼馴染がキュンとしちゃうとかなんとかって奴」
フジタ 「『幼馴染はアナタの事を思うとキュンとしちゃうの』でござるか!?
 ま、まさかあんなクソゲーで徹夜する人がいるとは……プ、クク……」
タナカ 「あ……お前だったのかよ! 昨日それ買って行った馬鹿ってのは!」
ユータ 「な、なんで知ってるんだ!」
タナカ 「だって、この辺でゲーム売ってるのオレのバイトしてる店しかねーじゃん。
 バックで休んでたら、先輩が大笑いして「馬鹿がいた!」だってよ!」
ユータ 「お前、アソコでバイトしてたのか……クソ、めちゃくちゃ恥ずかしい……」
フジタ 「いやー、今どきあんなクソゲーをわざわざ買うとは! 笑えるでござる!」
タナカ 「オレも、あのゲームの在庫減ったの2年ぶりって聞いたぞ!」
テンシ 『もしかして、2年前に買ったのアイツだったりしてねー……』
ユータ 『あり得る……あんなゲームわざわざ買う奴いねぇしな……』
フジタ 「で? あんな恋愛物というより全編寒いギャグみたいなゲームの感想は!?」
ユータ 「古今東西(ココン・トウザイ)稀(マレ)に見るクソゲーだった。 あんなので感動できる馬鹿はいねぇよ……」
タナカ 「へぇ、そんなにクソゲーかよ……逆に興味沸いてくんな、それ……」
フジタ 「まぁ、レビューサイトでも最低点つけられたりしてますからなぁ……」
タナカ 「実況とかしたら受けそうな……って、おい、ユータ?」
ユータ 「なんだよ?」
タナカ 「さっきから、ナオヤが凄い形相(ギョウソウ)でこっち睨んでるんだが……お前、なんかしたのか?」
テンシ 『あー、アイツ、本気であのゲーム好きなんだ……信じられないけど』
ユータ 『自分の感動したゲームボロクソに言われりゃ、腹も立つわな……同情はしないが』
ナオヤ 「……」(ギロッ)
フジタ 「半分涙目でござるな……何があったのでござろう……」
ユータ 「……知らねぇよ。 オレ、アイツとは縁切ったし」
フジタ 「なんと! ……何があったのでござる?」
タナカ 「……待て、フジタ。 ユータ、ナオヤと縁切るなんて余程の事だろ。 今は聞かねぇよ。
 話したくなったら言ってくれ。 相談にも乗るからな……?」
フジタ 「……そうでござるな。 好奇心が先走りもうした。 すまぬ……」
ユータ 「いや、いいんだ。 二人とも、ありがとうな……」
テンシ 『へぇ……良い友達じゃん。 親友はクズだったのに!』
ユータ 『あぁ……言ったろ? 良い奴らだって』
テンシ 『んで、今日からはどうするんだい? また尾行すんの?』
ユータ 『いや、ストーリーはわかったしな。 どうせイベントは止められないし』
テンシ 『あー、イチャイチャ見せ付けられるだけかー、そりゃ意味ないわ』
ユータ 『昨日話した通りなら、アイツがゲームを止めるまではまだ時間がかかる。
 それまで、色々他の手も取っておきたい……他の候補者を探すぞ。
 なにしろ、一発勝負だ。 少しでも勝率を上げないとな……』
テンシ 『うむ。 で、探すとなると天使アイの為に実体化する必要があるんだが』
ユータ 『校門前に喫茶店がある。 窓際の席から校門を見張るぞ』
テンシ 『……いいの? 絶世(ゼッセイ)の美少女とデートしてたって噂になるぜい?』
ユータ 『この際オレの評判は二の次だ。 ゴスロリコスプレ女とデートって噂も受けよう』
テンシ 『ひどい! 好きでコスプレしてるわけじゃないのに!』
ユータ 『コスプレしない方がおかしいだろうが! 悔しかったら羽消してみろ!』
テンシ 『羽消したら天使じゃなくてただの美少女じゃん!』
ユータ 『お前、半分男だろうが!』





テンシ 「んー♪ このパフェ、うまうまだねー! うまうまー!」
ユータ 「美味いのはいいが、ちゃんと外見張ってろよ? お前頼りなんだから」
テンシ 「わかってるってー! 天使アイの性能を信じろー!」
ユータ 「イマイチ節穴(フシアナ)っぽいんだよな……」
ガヤ♀ 「ねー、あれコスプレ?」
ガヤ1♂ 「学校の目の前だってのに、凄い度胸というか……」
テンシ 「二ヒヒ、みんな私の美貌に注目してんな……ちょっと優越感」
ユータ 「アホ、珍獣を見てる目だって気づけ、脳内お花畑」
テンシ 「どっちかというと一緒にいるキミに興味深々だろうけどねー?
 そいや、ヒロイン候補は何人居たんだっけ?」
ユータ 「めぐみにあきこ、ふみえ、それとようこの4人だな。 全員学生って設定だ」
テンシ 「じゃ、サトミちゃんとリサコちゃんで、あと2人か……」
ユータ 「ま、実際にはその周りの連中含めもう数人ひっかかりそうだけどな」
テンシ 「特徴は?」
ユータ 「あきこが生徒会長のツンデレ、ふみえが図書室に住む無口って設定だ。
 だが、うちの生徒会長は男だしな……図書室には誰でも行けるし、絞れん」
テンシ 「ふむー……なぁ、これ別にナオヤ尾行してりゃよかったんじゃね?」
ユータ 「今頃言うな。 てか、明日からはそうする。 今日はアイツ、サトミとイベントだ」
テンシ 「ほほぅ、ゲームプレイして全体像が掴めたようだねぃ」
ユータ 「それくらいの意味が有ってくれないと、時間と金が可哀想だ……」
テンシ 「……むむ? グ……目が、目がうずく……あの女だ、あの女が操られている!」
ガヤ♀ 「やだ……コスプレの上に厨二……?」
ユータ 「頼む、頼むから自然に報告してくれ! ……で、どいつだ?」
テンシ 「今校門を出た、眼鏡かけてる子……」
ユータ 「あれは……アカネさんか。 生徒会の書記の子だ」
テンシ 「生徒会長のあきこ役かな?」
ユータ 「だろうな。 イベントが生徒会室で発生するから、生徒会の中から選ばれたんだろ」
テンシ 「なるほどねー、ま、妥当な線じゃない? で、あの子追う?」
ユータ 「追っても今日はイベントないしな。 それより、もう一人を特定したい。
 明日になれば図書室でふみえとイベントだけど、情報は早さが肝心だからな」
テンシ 「おっけー! んじゃさ、もう一個パフェ頼んでいい? いいよね! やった!」
ユータ 「何にも言ってねぇよ! ……店員さん、パフェとコーヒーお代わり……」





テンシ 「……出てこないねぇ」
ユータ 「だな……もう帰ったか? いや、終礼終わってダッシュしたしな……」
テンシ 「んでも、そろそろ部活してた連中も終わりだよ? どうする? ホテル行く?」
ユータ 「なんでホテルなんだよ……ほれ、いいからちゃんと見張っとけ」
テンシ 「へいへい……っと、待ってた甲斐があったね。 来たよ!」
ユータ 「お……? あの子は……えっと……」
テンシ 「地味目な感じだかんね、いちいち覚えてないか……」
ユータ 「いや、思い出した。 ありゃ、隣のクラスの子だ。 ハブられてる子」
テンシ 「いじめいくない! 虐められていいのはキミだけだ!」
ユータ 「オレも虐められたくねぇよ! ……いじめというより、馴染んでないって感じだ。
 帰り際、教室で一人残ってるのを何度か見た事がある」
テンシ 「内向的な子なのかな? なるほど、それで図書室の無口ちゃんか……」
ユータ 「ゲーム機もなかなか役に合った子をチョイスするもんだ、そこだけは褒めてやる」
テンシ 「で、一応ヒロイン候補が出揃った訳だが。 これからどうするつもり?」
ユータ 「……情報を集める。 あの二人の周りを仲間に引き込みたい」
テンシ 「……それって意味あんの?
 私たちが出来るのって、アイツがゲーム止める時に取り押さえるくらいじゃん?」
ユータ 「それにしたって人手が多い方がいいだろ? ……それに一つ気になってる事がある」
テンシ 「ほほぅ、言ってみ、言ってみ?」
ユータ 「帰ってからな。 これ以上ここに長居すると追加で出費することになりそうだ」
テンシ 「チッ……」(舌打ち)
ユータ 「今お前舌打ちしたよな!? お前、今日晩飯抜きだからな!」
テンシ 「そ、そんな! 後生(ゴショウ)だ、食べさせて! 代わりにキミのソーセージ食べるから!」
ユータ 「てめぇ! 公共の前で何口走ってやがる!」





ユータ 「……そう、その二人なんだけど。 何か知らないか?」(タナカと電話中)
タナカ 「おい、お前……サトミちゃんに振られたからって、その二人と付き合おうってのか?」
ユータ 「いや、そういうのじゃない。 頼む、理由は聞かないでくれ」
タナカ 「……分かった。 まぁ、どうせ無理だろうしな」
ユータ 「というと?」
タナカ 「二人とも彼氏がいるよ。 特に、アカネさんはオレのバイト先の先輩の彼女だ」
ユータ 「っ!」
タナカ 「シイナさんも、ハブられてる原因の一つは、他校の彼氏優先しすぎたせいらしいし」
ユータ 「……なぁ。 その先輩だけどな? 最近、様子がおかしくなかったか?」
タナカ 「あぁ? そういや、少し元気ないみたいだったな。 昨日も空元気っぽかったし」
ユータ 「……そうか。 そう、だろうな……」
タナカ 「……おい。 お前、何か知ってるのか?」
ユータ 「アカネさんな……多分、その先輩と別れてるぞ。 多分、な……」
タナカ 「な……んなわけねーだろ? あの人たち幼馴染で、別れるはずが……あ。
 ……そうだな、お前だってサトミちゃんと別れたんだもんな……
 でも、何でお前がそれを知っている。 お前、二人と付き合いなんてねーだろ?」
ユータ 「それは……実はな、それは……ガァッ!」(胸が締め付けられる)
テンシ 「ユータ! 行動制限? 落ち着いて……大丈夫、大丈夫だから……」
ユータ 「ぅ……あ……」(声が出せず口をパクパク動かす)
タナカ 「どうした? 何かあったのか? それに今、女の声がしなかったか?」
ユータ 「ぅ……ふ、ぅ……い、いや、何でもない」
タナカ 「そんな様子じゃねぇだろ……」
ユータ 「とにかく、だ。 理由は聞かずに先輩に確認して結果を教えてくれ、頼む」
タナカ 「……わかった。 オレも先輩の事心配になってきたしな。 後で電話する」(電話が切れる)





テンシ 「大丈夫?」
ユータ 「あぁ……しかし、なんでだ? これまでゲーム機の話して制限かかった事ないのに」
テンシ 「……きっと、タナカくんが支配されてない無関係な人だからじゃない?」
ユータ 「ゲームの事は関係者のみ知れて、しかし知ると記憶が戻るが喋れない、か。 クソ……」
テンシ 「まぁ、ゲーム機だって無制限に人を支配出来るわけじゃないだろうしね……。
 多分、こうやって支配する人を制限してるんじゃないかなぁ……?」
ユータ 「……なるほどな」
テンシ 「どうする? 私だったら言えるけど、私から説明しようか?」
ユータ 「……そうだな、それも……いや、待て」
テンシ 「……何か問題ありそう?」
ユータ 「制限かかるってことは、だ。 第3者が知る事は想定してないって事だ。
 もし、ゲームに想定してない事……つまりバグがあったら、お前どうする?」
テンシ 「そりゃ、改修するとか、バグ取りするとか……ふむ。 そういう事?」
ユータ 「可能性の話だけどな。 もしかしたら支配されるだけで済むかもしれないが。
 万が一にも、タナカがバグとして消されるなんて事になったらマズい……」
テンシ 「賭けに出るには、掛け金が高すぎるかもしれないね……」
ユータ 「アイツにはゲームの事は言うな。 これ以上友人を失いたくない」
テンシ 「おっけ。 つくづく厄介だねぇ、あのゲーム機。 まったく、困ったもんだ」
ユータ 「それを落としたお前が言うな」
テンシ 「それについては悪かったと思ってるんだよぅ!」





ユータ 「……そうか、やっぱりな……」(電話中)
タナカ 「あぁ……先輩も何で振られたのか、良く分からないって言ってた。
 なぁ……何が起きてるんだ? お前の事だってそうだ。
 おかしいだろ! 何年も幼馴染やってた二人が、急に二人とも振られるとか!」
ユータ 「……」
タナカ 「お前、何か知ってるんだろ! なぁ、教えてくれよ……」
ユータ 「悪い……言えないんだ。 でも、原因なら分かるよ……多分、明後日(アサッテ)には」
タナカ 「どういうことだ……?」
ユータ 「すまん……それも言えない」
タナカ 「……わかった。 何か事情があんだな? 今は聞かない。
 でも、オレもフジタもお前の友達だからな? 言いたくなったら、相談しろよ?」
ユータ 「……ありがとう」
タナカ 「よせよ、なんか照れちまう。 それじゃ、また明日な?」(電話が切れる)





テンシ 「やっぱ別れてた? サトミちゃんのケースと一緒だねぇ……」
ユータ 「あぁ。 明日、シイナさんのイベント確認したらその先輩見に行くぞ」
テンシ 「ん、支配されてないか確認するんだね。 ゲームの事は言わないんでしょ?」
ユータ 「あぁ。 知らない人だからって消えていいって訳じゃないからな」
テンシ 「ふふ、キミ、優しい人だよね……口は悪いけど」
ユータ 「てめぇには負ける。 さて、飯でも食うか!」
テンシ 「待ってました! 今日は何かなー?」
ユータ 「残念だったな、暫くは節制(セッセイ)だ。 今日は納豆と漬物だけ」
テンシ 「な!? 私に死ねというのかっ!」
ユータ 「お前は食わなくても死なねーだろうが!」





テンシ 「ユータ? ちょっくら背中を流してはくれんかね?」
ユータ 「……なぁ。 なんでこうも自然に一緒に風呂入ってるんだよ……」
テンシ 「ふぇ? 男同士の友情を深め合う、みたいな?」
ユータ 「クソ、こんなのサトミに知れたらオレ殺されるぞ……」
テンシ 「だいじょぶ、そんときゃ3人で入ろうぜぃ!」
ユータ 「出来るか! ……ほら、流してやるから背中向け、目に毒なんだよ」
テンシ 「私のちっぱいに興奮した?」
ユータ 「しねーよ。 せめてもう2つほどカップを上げてから出直せ」(ゴシゴシ)
テンシ 「ひどっ! 大きさじゃない、柔らかさと感度が大切なんだよ!」
ユータ 「はいはい、そうでございますねー」(ゴシゴシ)
テンシ 「もぅ、少しは女として意識しろー!」(プンプン)
ユータ 「男同士の友情を深め合うんじゃなかったのかよ……」(ザバァ)
テンシ 「くそぅ、このぞうさんが悪いのか! これを毟(ムシ)り取ればいいんだな!」(引っ張る)
ユータ 「止めろ! ぞうさんが可哀想だ引っ張るな! あとその下がチラチラ見えるから!」





テンシ 「ふぁ……昨日の徹夜が堪えてるなぁ……さっさと寝ようぜぃ!」
ユータ 「お前は途中脱落してたろうが……ほれ、もうちょっとしっかりしろよ」
テンシ 「どうせやる事ねーじゃん! ちょめちょめするなら頑張れるけど!」
ユータ 「いい加減、オレを誘惑すんな! オレの貞操(テイソウ)はサトミだけのもんだからな!」
テンシ 「ちぇー、お堅いなぁ……んで、明日のご相談?」
ユータ 「おぅ。 明日は図書室でイベントだからな?」
テンシ 「わかってんよ。 つっても、何にもできないけどなー……」
ユータ 「見てるだけっつーのも辛いよなぁ……あまり知らない相手でも」
テンシ 「ま、彼氏さんが一番辛いんだろうけどね。 ……それに、キミも」
ユータ 「……ありがとな、テンシ」(ナデナデ)
テンシ 「ま、これくらいはなー? ほら、私が原因だしね?」(ゝω・)テヘペロ
ユータ 「そりゃそうなんだけどな。 一応親身に協力してくれてるし」
テンシ 「無論、下心アリアリだけどな! ご褒美は一発でいいから!」
ユータ 「よっしゃ、ゲンコツ一発でいいんだな? 先払いして欲しいか?」(ボキボキ)
テンシ 「うっわ、コイツ本気だ! 心で本気具合が伝わってくる、やべー!」(逃)
ユータ 「てめぇ、2発でも3発でもくれてやるから逃げんな!」(追)
テンシ 「やなこったい! ほーら、捕まえてごらん♪」
ユータ 「このやろ! てめぇ、待ちやが……っ!」(転んでテンシを押し倒す)
テンシ 「キャッ! あ……」(ドキドキ)
ユータ 「あ……わ、悪ぃ……」(赤面)
テンシ 「ラッキースケベ、発動しちゃったね……続きしても、いいよ?」
ユータ 「し、しねーし! ほ、ほらもう退いたから!」
テンシ 「……ヘタレ」(ボソッ)
ユータ 「なんか言ったか? ほれ、もう寝るぞ!」
テンシ 「はいよ! ほれほれ、天使のここ、空いてますよ?」(手招き)(元ネタ
ユータ 「いいから! オレは床で寝るから!」





翌  日

テンシ 「……むにゃ、おなかいっぱいだよぅ……
らめぇ……そんなおっきいの入らないってばぁ……」(ムニャムニャ)
ユータ 「いい加減卑猥な夢見てないで起きろ!」(スパーン!)
テンシ 「ハッ! 口に入りきらない程のフランクフルトはどこへ……!」
ユータ 「なんだよ、その食い意地張った夢は……」
テンシ 「あ、ユータおっはー! 今日も良い朝だねぇ!」
ユータ 「……おはよう。 朝飯出来てるからさっさと降りて来い」
テンシ 「よっしゃ! 今日の朝飯はなんぞ!」
ユータ 「期待されてるとこ悪いけど、食パンだ」
テンシ 「ブーブー! 捕虜(ホリョ)の待遇(タイグウ)の改善を要求する!」
ユータ 「誰が捕虜(ホリョ)だ。 むしろこっちがゲームに囚(トラ)われてるじゃねぇかよ……」





フジタ 「おお? ユータどの。 珍しいですな、登校中に出くわすのは」
タナカ 「だな。 おはようさん!」
ユータ 「おはよう、二人とも。 お前らいつも一緒だよな……」
フジタ 「フヒヒ、拙者ら彼女いない同盟の仲間でござるし!」
タナカ 「オレたちと一緒ってこたぁ、お前も同盟員みたいなもんだけどな」
ユータ 「……断る」
タナカ 「ユータ……昨日の事だけどな?」
ユータ 「あぁ……悪かったな、変な事聞いて」
タナカ 「いや……明日になりゃ分かるって言ってたけど……」
ユータ 「……明日、放課後付き合え。 それで何が起きてるか分かる」
タナカ 「……分かった」
フジタ 「おや? 何の話でござる? 拙者も仲間に入れて欲しいでござるが……」
ユータ 「……分かったよ。 お前も明日付き合え」
テンシ 「良いでござるよ! どうせタナカ以外と遊ぶ用事もないですしな!」





タナカ 「……おい、ユータ。 ありゃぁ、何の冗談だ?」
ユータ 「あ? ……あれか、見たままだよ」
フジタ 「……なにゆえサトミさんがナオヤどのと一緒に登校を……?」
タナカ 「フジタ、よく見ろ。 ……あいつら、手ぇ繋いでやがる」((((;゚Д゚))))
ユータ 「……あぁ。 あいつら、付き合い始めたからな」
タナカ 「いいのかよ! だって、ナオヤは……サトミさんだってなんで!」
ユータ 「……理由は言えない」
フジタ 「……何か事情がありそうでござるな?」
タナカ 「……まさか、お前何か……サトミさんに、何かしたのか?」
ユータ 「あぁ……アイツを、襲おうとした」
テンシ 『いいの? 言っちゃって……ゲームのせいとは、言えないんだよ?』
ユータ 『かまわない。 知らない人にとってはそれが事実だし、こいつらに嘘つきたくない』
タナカ 「な……!? て、てめぇ!」(胸ぐらを掴む)
フジタ 「待つでござる! 拙者らが知るユータどのは、そんな人間ではなかろう!」
タナカ 「……で、でもよ……」
フジタ 「……タナカよ。 あれだけ仲が良くて、わざわざ襲う必要があったと?
 恐らく、以前のサトミさんであればユータどのが望めば喜んで夜を共にしたでござろう。
 拙者、童貞でござるが…それくらいの事はわかるでござる」
タナカ 「……まぁ、サトミさんはコイツにべったりだったしな。 そうかもしれないが……」
フジタ 「だが、ユータどのは襲ったという。 しかも弁解もせず、理由も言わない。
 そして、時を同じくしてナオヤどのがサトミさんと付き合い始めた……。
 何か、キナ臭いものを感じぬでござるか?」
タナカ 「そうだな。 第一、サトミさんならユータが本当に襲っても喜んで襲われそうだ。
 ……悪かったな、ユータ。 ちょっと先走りすぎた」
ユータ 「いや……ありがとう、二人とも」
フジタ 「フヒヒ、貴重な彼女いない同盟の準構成員でござるからな!」
ユータ 「……オレの口からは何も言えない。 多分、これからも。
 それでも良いのなら、お前らに事実を見せる。 ……それで判断してくれ。
 ただ、見せるのは事実だ。 真実じゃない……それでもいいか?」
タナカ 「……いいさ。 馬鹿なオレにだって何か変なのはわかる」
フジタ 「どうせユータどのの事、我々の事を案じてのことでしょうしな!」
ユータ 「……ありがとう、ありがとう二人とも……」(´;ω;`)
タナカ 「泣くなよ、みっともない」
フジタ 「男子が泣いていいのは、財布を落とした時と初回限定版を逃した時だけでござる」
テンシ 『うっわ、なっさけな! ……でも、気持ちは分かるよ。 良い友達だね、ホント』
ユータ 「くそ、3人ともうるせーよ!」
タナカ
フジタ
「「3人……?」」





タナカ 「んで? 付き合うのって明日じゃなかったっけ?」
フジタ 「まぁ、どうせ暇だから構わないでござるが……」
ユータ 「お前たちに事実を見せるって約束したしな。 その延長だよ」
タナカ 「……何の事実か、ってのが問題だけどな」
フジタ 「それで、図書室に何があるのでござる?」
ユータ 「今は何も。 ……これから起きるんだよ」
シイナ 「……」(本のページをめくる)
タナカ 「なぁ、シイナさんが本読んでるだけじゃねぇか?」(ヒソヒソ)
ユータ 「もうすぐだ……何があっても、声出すんじゃねぇぞ?」(ヒソヒソ)
フジタ 「了解でござる。 永遠にこの口閉ざして見せるでござる」(ヒソヒソ)
ユータ 「いや、そんな苦行(クギョウ)まではしなくていいんだが……」(ヒソヒソ)
??
ナオヤ
「ごめん、遅くなった……待った?」
シイナ 「ぁ……ぃぇ(本を閉じる)
 大丈夫だょ……ナオヤくん……」(微笑む)
タナカ 「っ! なんでナオヤが……何か関係あんのか!?」(ヒソヒソ)
フジタ 「タナカ、黙るでござる。 ……拙者、何となく想像がついたでござるよ」(ヒソヒソ)
ユータ 「心構えしとけ。 これからだ……」(ヒソヒソ)
ナオヤ 「隣……座っていいかな?」
シイナ 「……ぅん」
ナオヤ 「よっと。 ん、何読んでたの?」
シイナ 「恋愛小説……」
ナオヤ 「そっか……ね、小説より、実際に体験してみたいと思わない?」
シイナ 「……ぅん」////
ナオヤ 「それじゃ……」(相手の顎を引いて)
シイナ 「……ん」(キス)





ユータ 「……二人は出て行ったな。 もう喋っていいぞ?」
タナカ 「な、なんだよあれ! だって、ナオヤはサトミさんと付き合ってるんじゃ……!」
フジタ 「なるほど……二股でござるか」
ユータ 「あぁ……正確には、二股じゃねぇけどな」
タナカ 「おかしいだろ! だって、シイナさんには他校の彼氏が……!」
ユータ 「……多分、別れたんだろ」
タナカ 「ありえねぇ! だって、これじゃまるで……」
ユータ 「まるで、オレとサトミみたい、か?」
タナカ 「お前、明日先輩の事が分かるって言ってたよな? まさか……」
ユータ 「……オレの口からは何も言えない」
フジタ 「ふむ……なぜユータどのが明日の事まで分かるのか、と当然の疑問は置いておいて。
 とにかく、ここ最近の不可思議な状況には全てナオヤどのが絡んでいる。
 ……どうやら、そのあたりにユータどのが縁を切った理由もありそうでござるな?」
ユータ 「……」
タナカ 「……ユータ。 お前は何も言わない。 いや、言えないんだな?」
ユータ 「……あぁ」
タナカ 「……分かった。 次は明日だな? 放課後か?」
ユータ 「……あぁ」
タナカ 「よし。 フジタ、帰るぞ。 帰り、付き合え」
フジタ 「……了解でござる。 ではユータどの、また明日でござる」
テンシ 『……変わった二人だけど、意外と頭も回るし仲間思いだねぇ!』
ユータ 『あぁ。 普通、女を襲った上に何も言おうとしない男なんて信用しないだろうに』
テンシ 『だね。 怪しい、めっちゃ怪しい。 もはや見かけたら110番レベル』
ユータ 『……本当に良い奴らだよな。 良い友達を持って良かったよ』
テンシ 『どっちかというとホモだちを疑うレベルだけどね?』
ユータ 『お前と違ってオレはノーマルだ……』
テンシ 『し、失敬な! 私だってノーマルだ! 尻の穴は使った事ないし!』
ユータ 『尻の穴「は」? ……別の穴は使ったことあんのかよ?』
テンシ 『あー、処女だけど天使友達の佐藤ちゃんに突っ込んだことはある』
ユータ 『クソ、てめぇ童貞じゃなかったのかよ……!』
テンシ 『でも処女だよ!』
ユータ 『処女は関係ねぇ! 非童貞だったのがなんか負けた気がする!』





テンシ 「明日は書記さんのイベントだねぇ。 最後のヒロイン候補かぁ」
ユータ 「そうだな。 ……その後は、アイツとの勝負だ」
テンシ 「この前話した奴だね。 ま、私もアレしか手はない気もするけど……
 実際の所さ、勝算はどれくらいと見てる?」
ユータ 「……どうだろうな。 この後オレの想像通りの流れになるのは間違いないと思う
 問題は、アイツがゲームを止める時だ。 その時点で奪い返せるかどうか……」
テンシ 「そうだね。 しかも、わざわざ私たちの前でゲームを止めてくれるわけがないし」
ユータ 「あぁ……だからテンシ、お前に頼みがある」
テンシ 「わかってるよ。 アイツに張り付いていろ、ってことでしょ?」
ユータ 「……そうだ。 頼めるか?」
テンシ 「もろちん! ここら辺で良い所見せとかないとねっ!
 ……でも、キミとしばらく離れ離れになるのは、少し寂しいかな……」
ユータ 「……悪いな。 でも、これからはアイツから目を離せなくなるから……」
テンシ 「わかってる! 明日のイベントの後から、アイツに張り付いてるよ。
 絶対見逃さないから!」
ユータ 「あぁ。 アイツがゲームを止める前には、絶対にこの前説明した行動を取る。
 始まったら、オレに連絡してくれ。 ……オレも張り付くから」
テンシ 「うん……待ってる。 ね、明日からしばらく離れ離れだからさ……
 ……少しだけ、甘えてもいーい?」
ユータ 「……なんだよ、気持ち悪ぃな。 ……別にいいけど」
テンシ 「よっしゃぁ! うぉぉぉ! み な ぎ っ て き た!」(バッサバッサ)
ユータ 「ちょ! 部屋の中で飛び回るな! それに、エロいのは禁止だからな!」
テンシ 「わーかってるって! ……ちょっと、充電するだけだよ」(バッサバッサ ポフッ)
ユータ 「お、おい……?」
テンシ 「……ごめんね。 本当なら、サトミちゃんとこうしてるはずなのにね……」(ギュ)
ユータ 「……お前も悪気があってやったことじゃねぇだろ?」(ポンポン)
テンシ 「……私ね、天使の中では仲間外れでさ。 友達いなかったんだ……」
ユータ 「お前、天使友達の山田くんとか田中くんとか佐藤ちゃんはなんだったんだ……」
テンシ 「あれ? パシリと舎弟とセフレ」
ユータ 「お前最悪だ!」
テンシ 「……だから、こんなふうに言い合ったり、甘えたりしたことなくてさ」
ユータ 「……その、なんだ。 まぁ、こんなオレで良ければ甘えてくれていいけど」
テンシ 「ん……おし、充電完了! もはや私に敵などおらぬわ!」(ガッツポーズ)
ユータ 「これから強敵に立ち向かうんだろうが……」
テンシ 「私、明日から頑張るからさ! 絶対に勝とうぜ!」
ユータ 「……あぁ。 アイツに、これ以上好き勝手はさせない!」
テンシ 「ま、失敗したら私がキミを貰ってやっから、安心して当たって砕けろ!」
ユータ 「絶対に失敗しねーっての。 てか、砕けたら駄目だろうが!」





翌  日

ユータ 「二人とも。 ……行くか?」
タナカ 「あぁ……案内してくれ」
フジタ 「覚悟完了、当方に迎撃の用意あり! でござる!」
ユータ 「分かった。 でも迎撃はすんな、面倒になる……」
タナカ 「生徒会室か……じゃぁ、やっぱり見せたいのは……」
ユータ 「ここだとバレるからな。 隣の空き教室行くぞ、ベランダから監視だ」
フジタ 「ふむ、スネークですかな? 良かろう、ダンボールはないでござるが……」
アカネ 「……」(そわそわ)
フジタ 「……昨日と似た流れですな。 先が読めるというもの」
タナカ 「……クソ、先輩……」
ナオヤ 「や、待たせたかな?」(ガラッ)
アカネ 「あ……! ナオヤくん! べ、別に待ってなんてないんだから!」(ツン)
ナオヤ 「ハハ、拗ねないでくれよ……約束どおり、ちゃんと来たろ?」
アカネ 「5分遅刻! 約束くらい守りなさいよね!」
ナオヤ 「ごめんごめん……お詫びに、ほら。 機嫌直して?」(なでなで)
アカネ 「もぅ……そんなのじゃ、誤魔化されないんだからね……?」////
ナオヤ 「じゃあ、これで……」(キス)
アカネ 「……ん……」(目がとろんとなる)
フジタ 「……アカネどのは、先輩どのと別れたばかりでなかったでござるか?
 これでは……既に付き合っているくらいのレベルのような……」
ユータ 「……」
タナカ 「……あの野郎……!」(拳を作って立ち上がる)
ユータ 「待て! 落ち着け! 何をするつもりだ!」
タナカ 「決まってんだろ! ナオヤを……アイツを殴るんだよ!」
フジタ 「落ち着くでござる! そんな事をしては……!」
ユータ 「あぁ、お前が悪者になっちまう! アカネさんはナオヤの味方をするぞ?」
タナカ 「でも、サトミちゃんなら味方してくれるだろ! 三股かけられてんだからよ!」
ユータ 「四股だ……それに、無駄だ。 サトミも納得してる、多分な」
フジタ 「な……浮気の公認をしていると……!?」
タナカ 「でもな! このままじゃ先輩が……!」
ユータ 「分かってる! だが、ここは我慢してくれ!」
フジタ 「そうでござる! 暴力を振るえば、タナカどのが処罰を受けてしまうでござるよ!」
タナカ 「く……ユータ! これが……これが事実かよ!」
ユータ 「……あぁ。 オレが見せられるのはこれだけだ」
タナカ 「クソ……なんでだよ! なんで先輩の場所にアイツがいるんだよ!」
ユータ 「……言えない、言えないんだよ!」
フジタ 「……サトミどの、シイナどのに続きアカネどの……どういうことでござる……」
タナカ 「なぁ、ユータ……オレは、どうすればいい? アイツに何も出来ないのかよ……」
ユータ 「今は、だ。 オレだってアイツを許すつもりはない!」
タナカ 「……信じて、いいんだな?」
ユータ 「……真実を語れないオレが信じてくれとは言えない。 お前たちが決めてくれ」
フジタ 「……ボクはユータを信じる。 タナカ、お前はどうする?」
タナカ 「フジタ、お前……」
フジタ 「……ユータが本気なのに、自分を偽ってはいられないからね」
タナカ 「……ハ。 ユータもフジタも本気なんだ、オレだけ信じないわけにはいかねぇよな?」
ユータ 「……いいのか?」
フジタ 「うん。 それに一番怒ってるのはユータだ。 きっちり落とし前つけさせるんだろ?」
ユータ 「そのつもりだ。 だが、それには仲間が要る」
タナカ 「……いいぜ、アイツに一泡吹かせるんなら、なんでもする。
 先輩には世話になってんだ。 それに、親友の為ならな……!」
フジタ 「彼女いない同盟の再結成だね!」
ユータ 「……ありがとう、二人とも」
テンシ 『親友だってさ。 良かったね、ユータ……』
ユータ 『あぁ……』
テンシ 『泣くなよ……こっちまで泣けてくるじゃんかよぅ……』
ユータ 『泣くかよ……まだ、勝負の席についたばかりなんだぜ……?』

「詳しい事は言えない。 オレを信じてくれるなら、オレの言う事に従ってくれ」
フジタ 「分かってるでござる。 さぁ、拙者たちは何をすれば良いでござるか?」
フジタ 「今は何も。 でも、その時になったら声をかける」
タナカ 「そうか……でも早くしてくれよ? オレの我慢が利いてるうちにな……」
ユータ 「あぁ……それに、もしかしたらお前がキーパーソンかもしれない」
タナカ 「オレが……?」
フジタ 「拙者にも出番を頂けるのでござろうな?」
ユータ 「当たり前だ、お前にも手伝ってもらうからな?」

『天使……それじゃ、アイツの監視頼むぞ?』
テンシ 『任せておいて! しばらく私が居ないからって自家発電すんなよ?』
ユータ 『バーカ、これからの事で頭使うんだ、ぞうさん使ってる暇なんてねぇよ』
テンシ 『うっわ、下品! 女の子の前でさいてー!』
ユータ 『だから、お前半分男だっての……』
テンシ 『……んじゃ、行ってくるよ……と、その前に」(実体化する)
ユータ 「お、おい! ここ学校だぞ! 実体化してどうすんだよ!」
テンシ 「……ん」(キス)
ユータ 「お、おま! な……何しやがる!」
テンシ 「ふふ、ご褒美の先払い! んじゃ、行ってくるよ!』(消える)
ユータ 「……ったく」(ため息)





ユータ 「ただいまー……っと、誰もいないんだよな……
 ……なんつーか、一人ってこんなに寂しかったっけ?」





回   想

サトミ 『ユーター? えへへ、今日もご飯作りに来てあげたよー?』
テンシ 『ユーター! 飯食わせろー!』
サトミ 『何言ってんの、もう15年の付き合いじゃない……』
テンシ 『お邪魔するよー! 裸の付き合いしようぜ!』
サトミ 『ま、これからは違う付き合い方になるけど、ね? えへへ・・・・・・』
テンシ 『……少しだけ、甘えてもいーい?』





ユータ 「・・・・・・そっか。 アイツらがいないからだよな……
 なんだかんだで天使には助けられてたって感じだな……
 ハァ……飯作るって気分でもねぇな。 カップラーメンでいいか。

 ……待ってろよ、サトミ……」





翌   週

ガヤ1♂ 「なぁ……聞いたか?」
ガヤ2♂ 「あぁ……ナオヤの奴、サトミさんをユータから略奪したってマジらしいな?」
ガヤ1♂ 「いや、オレはリサコさんと付き合ってるって聞いたぞ?」
ガヤ2♂ 「いやいや、シイナさんとアカネさんも一緒に、5人で歩いてたってよ……」
ガヤ1♂ 「なんだよそれ、ハーレムじゃねぇかよ……クソ、羨ましいなアイツ……」
タナカ 「……噂、広まっちまったな……」
ユータ 「……あぁ」
フジタ 「良いのでござるか?」
ユータ 「事実だからな。 今は……これでいい」
タナカ 「なぁ……まだ、なのかよ?」
ユータ 「……多分、もう少しだ。 ……見てみろよ」
サトミ 「でね、今度遊園地に行きたいなーって!」
ナオヤ 「……あぁ、そうだな」(イライラ)
サトミ 「……どうしたの? 何かあった?」
ナオヤ 「……何でもねぇよ」
フジタ 「……? どうやらイライラしているようでござるな?」
タナカ 「どうやったかは知らねぇけど、アイツ今幸せの絶頂じゃねぇか……
 なんでアイツがイライラすんだよ?」
ユータ 「理由は分かってる。 ……言えなくて悪いんだけどな」
フジタ 「……もしかして、時を待てとはこれを待っていたのでござるか?」
ユータ 「あぁ……」
テンシ 『ユーター! 会いたかった!』
ユータ 『毎日会ってるじゃねぇか。 まぁ、姿は見てないけどな?』
テンシ 『今日の定時報告なー? ユータの予想通り、昨日もだったぜ!』
ユータ 『行動制限か…… アイツ、どんな顔してた?』
テンシ 『ハッ、笑っちゃうね! まるでおあずけかまされたワンコのよう!』
ユータ 『だろうな。 ……そろそろ、アイツも気づく頃か?』
テンシ 『多分ねー? もうすぐキミの所へ帰るから、股を濡らして待ってな!』
ユータ 『濡らさねぇよ! 下ネタ言ってないで、しっかり張ってろよ?』
テンシ 『アイアイサー! んじゃ、また後でねー!』
タナカ 「……どうした、ユータ? さっきからボーっとして……」
ユータ 「いや……なんでもねぇよ」





翌  日

リサコ 「ナオヤ! 今日の放課後どうする?」
サトミ 「私、駅前の店のパフェ食べたいなー!」
ナオヤ 「……」(イラッ)
リサコ 「どしたん? 何か元気ないけど?」
サトミ 「パフェ、嫌いだった? なら、別のお店でも……」
ナオヤ 「……うるせぇ! 少し静かにしてくれよ!」(机を叩く)
サトミ 「ご、ごめん……」
フジタ 「……今日は一段と荒れているでござるな……」
タナカ 「ったく、二人はべらせておいて何が不満なんだよ、アイツ……」
テンシ 『ユーター! 聞っこえってるー?』
ユータ 『聞こえてるよ。 定時連絡か?』
テンシ 『うんにゃ。 アイツ、昨日見たぜ?』
ユータ 『……そうか。 とすると、気づいたな、アイツ!』
テンシ 『多分ねー! 案外早かったじゃん? まだイベント半分残ってるし』
ユータ 『ま、それだけ我慢出来なかったんだろうよ』
テンシ 『へっへー、私頑張ったっしょ? ほめてほめて!』
ユータ 「よくやったぞ、テンシ!」
タナカ 「あ……? 天使……?」
ユータ 「あ……いや、なんでもない……」
フジタ 「そういや、ユータどのは最近ゲームしているでござるか?」
ユータ 「うんにゃ。 そんな気分でもなくてな……」
タナカ 「ま、そりゃそうだ。 つっても、この前クソゲーやってたけどな?」
ユータ 「やりたくてやってた訳じゃねぇっての……」
フジタ 「もう少しマシなゲームやったらどうでござるか?
 なんだったら、紹介するでござるよ? ほら、最近発売したエロゲで……」
タナカ 「あぁ、あれだろ? 『おさな妻キュンキュン!』 っての。
 うちの店でも売り上げ一番みたいだしな。 どうなんだよ、あれ?」
フジタ 「すごいらしいですぞ? 純愛ラブラブの上、エロエロだそうでござる!」
ユータ 「お前らな、学校でエロゲの話すんなよ……女子が聞いたら引くぞ?」
フジタ 「フヒヒ、拙者ら、彼女いない同盟に怖いものなど!」
タナカ 「ユータもやるか? 本当なら高校生は駄目だけど、売ってやるぞ?」
フジタ 「タナカ! 今のユータにそのゲームは……」
タナカ 「あ……悪ぃ。 お前の気持ち、考えてなかったな……」
ユータ 「……気にすんな。 気使われる方が余計気にするっての」
テンシ 『駄目だぜ? そんなので抜くくらいなら私で抜けよ!』
ユータ 『うるせー! そもそも抜かねぇよ!』
テンシ 『へぇ? ふーん? ほほぅ? ホントに?』
ユータ 『な、なんだよ……?』
テンシ 『私の天使ノーズが青臭ーい栗の花のかほりを嗅いでるんだけど?』
ユータ 『……てめぇ、実体化して無い癖に分かるわけねーだろ!』
テンシ 『アハ、バレた?』
ユータ 『ほれ、いいからナオヤを張ってろ! 目、離すなよ?』
サトミ 「ナオヤくん、どうしたの?」
ナオヤ 「いや……なんでもない。

 ……おさな妻キュンキュン! ね……」(ボソ)





翌  日

ユータ 『よぉ、天使。 どうだった?』
テンシ 『あー、帰ったとたんパソコンに飛びついちゃってやんの。
 んで、今日は学校休もうとした所行動制限に引っかかっちゃってさ!』
ユータ 『あぁ、今日はアカネさんとのイベントの日だったな。 そりゃ休めねぇわ』
テンシ 『生徒会室でしか起きないもんねぇ、書記さんのイベント』
ユータ 『……で? テンシ、お前はどう見る?』
テンシ 『動くよ、今夜。 いよいよだね……覚悟はいーい?』
ユータ 『ったりまえだ。 とっくに覚悟なんて決まってるに決まってる』
テンシ 『おっけ。 んじゃ、私も気合いれてくから後でご褒美ね?』
ユータ 『お前、先払いしたろ? しかも強制的に』
テンシ 『へへ、追加報酬を期待してますぜ、旦那!』
ユータ 『わかったわかった。 うまくいったらキスでも何でもしてやるから頑張れ』
テンシ 『よっしゃ! 何でもするんだな! 童貞もらったぁ!』
ユータ 『そ、それは駄目だ!』
テンシ 『処女でもいいよ?』
ユータ 『……もっと駄目だろうが!』





タナカ 「で、放課後になったが、今日はどうすんだ?」
フジタ 「また待機でござるか? そろそろ、動きが欲しいでござるが……」
ユータ 「ん……今日は付き合って貰うぞ?」
フジタ 「ということは……?」
タナカ 「待ってましたっ!」
ユータ 「お前ら、気合入れろ……出陣だ」(ニヤッ)





先輩 「ありがとうございましたー! またお越し下さいませー!」
ナオヤ 「ふ……クク……これで……ハハ、ハハハハハ!
 ハァ、ハァ……これで……これでオレは……!
 何度も確認した……これなら、このゲームならオレは……
 ……オレは!(ゲーム機のディスク入れを出す)
 よ、よし! ゲームの入れ替えを……」
テンシ 『ちょっと待ったあぁぁぁぁ!」(実体化しながらゲーム機に飛びかかる)
ナオヤ 「っな!? て、てめぇどこから! 誰だ!」
テンシ 「これ、返して貰うかんね! 私のなんだから!」(ゲーム機を掴む)
ナオヤ 「お前、あの時の……天使か!」(すかさずゲーム機を掴む)
テンシ 「天使さまとお呼びっ! こんの外道がっ!」(グググ…)
ナオヤ 「てめぇ……せっかく、手に入れた、オレの幸せを……」(ググッ)
テンシ 「うぁ! ちょ、ちょっとタンマ! なにその火事場のクソ力!」(ズルズル)
ナオヤ 「渡して、たまるかよおぉぉぉぉぉ!」(ゲーム機を奪い取る)
テンシ 「キャッ! 痛っ……何すんだ! って、げ、ゲーム機!」
ナオヤ 「返してもらうぞ、女がオレに力で勝てるかよ!」(ゲーム機を持って逃げる)
テンシ 「私は半分男だ! 返せー! この泥棒ー!」(バサバサ)

『ユータ、ゴメン! 逃げられた!』
ユータ 『お前は窓から出て空から隙を狙え! こっちは配置についてる!』
ナオヤ 「クソ、何なんだよアイツ! まさか、どこにでも入れるのか!?
 と、とにかく……このゲーム機だけは!」(ゲーム機を抱えて)
??
フジタ
「どこへ逃げる気? ボクたちと遊ぼうよ、ナオヤ!」
ナオヤ 「て、てめぇフジタ! 邪魔すんな!」
フジタ 「悪いね、それは返して貰うよ。 答えは聞いてない!」
ナオヤ 「聞けよ! 答えは断るだ!」(フジタに背を向けて逃げる)
フジタ 「タナカ! 裏口向かったよ!」
タナカ 「おぅよ! さて、ナオヤ。 先輩のうらみ、晴らさせてもらうからな!」(殴)
ナオヤ 「痛っ! てめぇ、邪魔だ! どけ!」(ゲーム機で殴る)
タナカ 「痛……! てめぇ、ゲーム機で殴るのは卑怯だろうが! 壊れるぞ!」
ナオヤ 「壊れねえんだよ! てめぇの相手をしてる時間はねぇ、どけっ!」(タナカを蹴飛ばして逃げる)
タナカ 「ガァッ! クソ、なんだよコイツ! 待ちやがれ!」(蹴られた腹を抑えながら追う)





ナオヤ 「ハァ、ハァ……あ、アイツらは撒けたか……?
 な、なんでアイツらまでゲーム機の事知ってんだよ……
 ユータの差し金か……? クソ、とにかく安全な場所まで……」
??
ユータ
「……」(ナオヤの背後に現れる)
ナオヤ 「っ! だ、誰だ!」
ユータ 「残念だったな! ゲーム機、ゲットだぜ!」(ゲーム機を奪い取る)
テンシ 「おー? すごいじゃん、ユータ!」(飛びながら追いつく)
ナオヤ 「っ! ユータ、てめぇ待ち伏せしてやがったのか! なんでオレがこっち来ると……!」
ユータ 「バーカ、一応オレはお前の幼馴染なんだぜ? いや、幼馴染だったんだぜ?
 てめぇのチキンな行動パターンなんか、お見通しだっての……!
 ま、とにかくゲーム機は返してもらったぞ。 ほれ、天使パス」(ポスッ)
テンシ 「キャーッチ! アーンド、リリース!」
ユータ 「リリースしてどうすんだバカ!」
テンシ 「ジョークジョーク! ちゃんと受け取って上空に逃げてるってば」(バッサバッサ)
ナオヤ 「ユータ! この天使は張り付いてたとして、何でお前らまでオレがゲームを止めるとわかった!
 オレがゲームを止めてから連絡したんじゃ待ち伏せに間に合わないはずだ!」
ユータ 「ハァ? お前さ、ボケちゃったんじゃねぇの? 色ボケついでによ。
 言ったろ? 行動パターンはお見通しだって。 それどころか、操られてやんの」
ナオヤ 「オレが……操られてただと? どういう意味だ!」
ユータ 「ハァ……いいよ、勝利者インタビューだ。 説明してやるよ。
 お前さ、あのクソゲーをあれにセットしてただろ? 途中までは良かったんだよな。
 でも、致命的な欠陥があった。 お前は気付くのが遅かったみたいだけどな?」
ナオヤ 「ク……」
ユータ 「致命的な欠陥。 それは、ギャルゲーをセットしたが故の欠陥。


 ……てめぇ、サトミやリサコ、他の二人にエロい事が出来なかったんだろ?」
ナオヤ 「な、なんで知ってんだよ!」
ユータ 「テンシに張らせてたから……と言いたい所だけど、分かったのはその前だ
 てめぇも覚えてるだろ? 説明書の最後の項目(コウモク)、その備考欄(ビコウラン)だ」
ナオヤ 「『ゲームを破綻させないよう役割に反する行動は制限されてしまいます』……」
ユータ 「度々邪魔された行動制限。 その強制力はゲームを始めた本人にまで及ぶ……
 お前のセットしたゲームが分かった後、ピンと来たよ
 ……ゲームに従うならば、お前はヒロインとエッチが出来ないんじゃないかとな!
 ま、最近のゲームじゃ直接描写はなくても匂わすような描写がある場合もあるし……
 エンディング後に子供が生まれた、とかの場合もある。
 おかげであんなクソゲー、徹夜でクリアして確認する羽目になっちまった」
ナオヤ 「クソゲー!? クソゲーだと!? 訂正しろ!」
ユータ 「あぁ、悪い。 超クソゲーだった」
ナオヤ 「てめぇ……」(ギリッ)
ユータ 「どうせ、サトミたちに迫ろうとしては行動制限に泣かされた口だろ?
 なにせ、ゲームを開始した本人もゲームの支配からは逃れられないんだからな!」
ナオヤ 「そうだ……そうだよ! 意味ねぇだろそれじゃ! いくらハーレムでも!
 オレのものの癖に……誘おうとする度、身体が硬直する! 邪魔しやがって!」
ユータ 「バーカ、元々サトミもリサコも後の二人もお前のもんじゃねぇよ。
 で、イライラし始めたんだろ? それがわかったからお前に聞かせてやったじゃん」
ナオヤ 「まさか……」
ユータ 「お前がさっき買いにいったゲームの話だよ。 おさな妻なんとかって奴」
ナオヤ 「お前! オレにわざと聞かせたって言いたいのか!」
ユータ 「言いたいも何もその通りだ。 お前の事だ、絶対食いつくと思った。
 テンシからお前がサトミたちを襲えない理由に気付いたと聞かされたからさ……
 フジタたちには、あらかじめ合言葉を言ったら話題を振るよう指示しておいた

 合言葉は……『天使』」





回  想

テンシ 『へっへー、私頑張ったっしょ? ほめてほめて!』
ユータ 「よくやったぞ、テンシ!」
タナカ 「あ……? 天使……?」
ユータ 「あ……いや、なんでもない……」
フジタ 「そういや、ユータどのは最近ゲームしているでござるか?」





ナオヤ 「クソ! てめぇ、それでオレを手玉に取ったつもりか!
 だいたい、いつもいつもてめぇはオレの邪魔ばっかしやがって……!(ギリギリ)
 なんでだよ! 別にオレが良い目をみるくらいいいじゃねぇか!」
ユータ 「勝手に邪魔者認定してんじゃねぇよ。 文句があるなら言やぁ良かったじゃねぇか。
 だいたい、人のモンを奪って、何が良い目だ。 自分も奪われる覚悟くらいしとけ」
ナオヤ 「ふざけんな! ふざけんなよ!」
ユータ 「……ふざけてんのはてめぇだ。
 ま、お前の本心に気付かなかったオレやサトミも悪かったと言えば悪かった……
 だからといって、お前のやったことは正当化出来ないけどな?」
ナオヤ 「てめぇ……く……」(震)
ユータ 「……支配が解けてもサトミたちにはお前の事は言わない。 出来る事なら、自分で謝れ」
ナオヤ 「く……クク……」(震)
ユータ 「オレも無意識にお前を傷つけていたかもしれん。 言ってくれれば……おい?」
ナオヤ 「ククククク……ハッハハハハ! それで、勝ったつもりかユータ!」
ユータ 「……どういう意味だ?」
ナオヤ 「バーカ、オレが何もせずただ逃げ回ってたと思ってたか? それ、よく見てみろよ」
テンシ 「ユータっ! これ……しまった!」
ユータ 「どうした、テンシ!」
テンシ 「ゲームが……起動してる!」
ユータ 「な……! ナオヤ、てめぇ!」
ナオヤ 「そいつから逃げるとき、咄嗟にゲームCDも持って逃げたんだよ!
 んで、タナカから逃れた後、走りながらゲームを起動させてもらった!
 電源もモニターもいらないからこそ出来た。 その不思議なゲーム機様々だぜ!
 ……なにが勝利者インタビューだ? お前のドヤ顔、笑いを堪えるのに必死だったよ!」
ユータ 「ナオヤ……」
ナオヤ 「さ、どうする? 言っておくが、オレはもうゲームに触らないからな?
 お前が教えてくれたゲームだ。 内容は把握してるよな……?」
ユータ 「っ!」
ナオヤ 「今度こそ、サトミはオレが好き放題穢(ケガ)してやるよ! ざまーみろ!」
ユータ 「ナオヤ、てめぇっ! がぁっ……!」(行動制限の息苦しさ)
テンシ 「ユータっ!」
ナオヤ 「お前も学習しねぇよなぁ……ゲーム中は、オレを殴れないっての
 だってよ、このゲームで、お前の役は……オレの親友、だからな?」
ユータ 「……ぁ……ぐ……」(口がパクパク動く)
ナオヤ 「さて、疲れたし帰るわ。 あー、そこの天使ちゃん、ゲーム機はやるよ。
 取り戻そうと思えばいつでも出来たのにしなかったところを見ると……
 どうせ、どんな手を使ってもゲームを止められないんだろ? オレ以外は」
テンシ 「く……」
ナオヤ 「オレはどうせ二度と触らないしな。 これで借りたものは返したからよ!」
テンシ 「くぅ……この恥知らず!」
ナオヤ 「ふん。 こうなるって分かってたら、お前も攻略対象になるの選べば良かったな
 ま、心優しいオレはサトミだけで我慢してやるよ! オレの、サトミだけでな!」
ユータ 「ぅ……」
ナオヤ 「んじゃな! これからサトミとどんなプレイをするか考えるので忙しいからよ!
 バイバイ、負け犬。 また明日、学校でな?」(歩いて去る)
ユータ 「ぅ……ガハッ! ハァ、ハァ……ナオヤ……!」
テンシ 「ユータ、大丈夫?」
ユータ 「大丈夫だ……テンシ、姿を消しておけ、アイツらが来る」
テンシ 「う、うん……』(姿を消す)
タナカ 「ユータ! 終わったか!?」
フジタ 「まったく、ナオヤがいなくなるまで二人きりにしろ、などと……」
ユータ 「悪ぃ。 でも、二人ともありがとう」
タナカ 「気にすんな。 んで、結局どうなったんだよ?」
フジタ 「取り戻したかったのは、そのPC-FXでござるか?」
ユータ 「PC-FX?」
テンシ 『あー、ゲーム機のことだよ。 それ、昔のゲーム機にそっくりだから』
ユータ 「あー、あぁそうだ。 おかげで取り戻す事だけは出来た」
タナカ 「だけは……って。 おいおい、何か失敗したみたいな言い方じゃねぇか」
フジタ 「……ユータ、もしかして……」
ユータ 「……いや。 これで皆元に戻る。 ……オレとサトミ、そしてナオヤ以外は」
タナカ 「おいおい、それじゃ……
ユータ 「……いいんだ。 ナオヤの、バカ野郎……」
フジタ 「ユータ……」





翌  週

サトミ 「それじゃね、ナオヤ……」
ナオヤ 「あぁ……明日はどうする?」
サトミ 「ん? そうだね、遅くなったら駄目だから近場でどっか行こうか?」
ナオヤ 「……ね、良かったら明日はさ……ガァッ!」(胸が苦しくなる)
サトミ 「明日は……何?」
ナオヤ 「……ぅ……あ……」
サトミ 「……変なの。 それじゃ、また明日ね?」( ´ ▽ ` )ノシ
ナオヤ 「……ッハァ。(制限解除) そ、それじゃな……」

(なんでだよ……おかしいだろ
 事前に調べた攻略なら、開始翌日には夜を一緒に過ごせるはずなのに……
 あれから1週間。 デートはしてくれるが、関係を迫ろうとすると……
 クソ、忌々(イマイマ)しい行動制限め……
 これじゃ、今までと何も変わらないじゃねぇか!
 いや、後の3人が居ただけ前のがマシだった! クソ、なんなんだよ!)





帰  宅  後

ナオヤ 「クソ……もう一回攻略ページを……いや、それはもう何度も……(ケータイが鳴る)
 ……? サトミか、何の用だ?(着信に出る) ……もしもし?」
サトミ 「あっ……ナオヤ……?」
ナオヤ 「あぁ。 どうしたんだ? 明日の事?」
サトミ 「ぅ……うん……それとぉっ! どうしてる、かなって……っ!」
ナオヤ 「……? 別にどうもしてないよ。 サトミの方は?」
サトミ 「えへへ……なぁんにもひてないよぉ……? ぁん♪」
ナオヤ 「……どうした? なんか声が変だぞ?」
サトミ 「風邪、引いたのかも……ん……ダメェ……」
ナオヤ 「ダメ? 具合、悪いのか……?」
サトミ 「そう……かも……も、もぅ……だめぇぇぇぇっ!」(プツッ/通話切れる)
ナオヤ 「サトミ? おい、サトミどうした!(切れた通話に向かって)
 なんだよ、今の電話は……
 サトミの奴、様子が変だった……あれじゃまるで……」

 (まるで? オレは今いったい何を考えた?
 まるで……あえぎ声のようだと考えたんじゃないのか?)
テンシ 『お悩みのようだねー?」(出現)
ナオヤ 「っ! てめぇ、天使! 何しにきやがった!」
テンシ 「んー? 混乱してるだろうと思ったから、ネタバレしに?」
ナオヤ 「ネタバレって……まさか、今のサトミの事か!」
テンシ 「アハハ、無理やり奪って今度は自分の物と勘違い?
 何サトミちゃんが自分の物みたいな顔してんだよ、バーカ」
ナオヤ 「な!? サトミはオレのもんだろうが!」
テンシ 「……キミさ、とっくに負けてたことに気付いてないの?」
ナオヤ 「負けてた……?」
テンシ 「今の電話。 なーんか変だったんじゃないのかなー?」
ナオヤ 「っ! どういう……意味だ……」
テンシ 「本当はねー、今度届くDVDで気付くはずなんだけど、ユータからのお願いでね
 その前に、キミに選ばせてあげようよって。 ま、気持ちは分からんでもない」
ナオヤ 「はぐらかすな! どういう意味だ!」
テンシ 「サトミちゃんさ、どこで、何しながら電話してきたと思う?」
ナオヤ 「おい……まさか」
テンシ 「二ヒヒ、正解。 答えは、ユータの腕の中で、えっちをしながらでしたー!」
ナオヤ 「な……」
テンシ 「ったく、オレたちはえっちするからお前はナオヤに説明してこい、だってさー
 酷いよねー、私だってえっちしたいってのにさ!」ヽ(`Д´)ノプンプン
ナオヤ 「そ、そんな事は聞いてない! なんでそうなる、あのゲームにそんなルートは!」
テンシ 「なーんにも気付いてないでやんの。 ぜーんぶユータの掌の上で弄(モテアソ)ばれてたのに」
ナオヤ 「ふざけんな! オレは勝った! アイツに勝ってサトミを手に入れた!」
テンシ 「んじゃ、肝心のサトミちゃんはどこにいるわけ? 答えてみ?」
ナオヤ 「ぐ……」(ギリ…)
テンシ 「ま、納得いかないよねー。 それじゃ、ラストの回想スタートッ!」(指パッチン)





回   想

テンシ 「ゲームを、すりかえる?」
ユータ 「あぁ。 万が一、ゲーム機を取り戻せなかった場合に備えてだ
 最悪の場合、せめてこっちに都合の良いゲームを起動させる」
テンシ 「そんなの、出来るわけ? だいたい、いつすりかえるのさ?」
ユータ 「タナカの先輩の話を聞いて思いついた。 アイツがゲームを買う時、だよ」





ユータ 「お前たちに頼みたい事は当日までは次の二つだ。
 フジタ、お前にはオレが合図したらこのゲームの話をして欲しい」
フジタ 「ふむ、『おさな妻キュンキュン!』でござるか。 良いエロゲでござる
 しかし、それに何の意味が? それに合図とは……?」
ユータ 「理由は言えない。 合図は『天使』、オレがそう口に出したら話題を振ってくれ」
フジタ 「……わかったでござる」
ユータ 「タナカ。 お前がキーパーソンだって言ったよな? このゲームを渡しておく」
タナカ 「あー? それをどうしろってんだ?」
ユータ 「お前のバイトしてる店、お前と先輩の二人しか店番しないだろ?」
タナカ 「あぁ、店長はレジしねぇけど……それがどうした?」
ユータ 「先輩にも頼んで、ナオヤがこれを買いにきたら、こいつを売ってやってくれ」
タナカ 「……新品を買いにきたら?」
ユータ 「在庫がないとでも言って、中古を薦めろ。 必ずこのゲームを渡すんだ」
タナカ 「……何の意味があるんだ? だって、別に店の在庫でも……」
ユータ 「……こいつの中身な。 レーベルをコピーした別物なんだよ」
フジタ 「ほほぅ、してその中身とは?」
ユータ 「『寝取られ幼馴染〜嫌いなアイツにあの子は穢される〜』だ」

回  想  終  了






ナオヤ 「寝取られ幼馴染……じゃぁ、まさかこれは」
テンシ 「そ。 寝取られ真っ最中〜♪ そろそろ一回戦終わった頃じゃない?」
ナオヤ 「う、そだ……うそだうそだうそだうそだうそだぁぁぁぁぁぁぁ!」
テンシ 「つまりさ、キミ、ユータに誘導された上で狙った通りの物を掴まされたってわけ!
 いやぁ、こうも想像通りの行動取るなんてねー、さすがユータ。 カッコいー!」
ナオヤ 「おかしい……オレに対しての邪魔は、行動制限で封じられるはず……」(ブツブツ)
テンシ 「面倒くさいなぁ……なら、直接ユータに確認すればー?
 私もえっちに混ざりたいから帰る。 帰るまでに電話終わらせてねー?
 んじゃ、バイビー!』(姿を消す)
ナオヤ 「く……ユータ、ユータめ……」(電話かける)
ユータ 「もしもし? よぅ、ナオヤ。 テンシからネタバレして貰ったか?」
ナオヤ 「なんでだ! なんでお前オレの邪魔が出来た!
 お前がゲームをすり替えたとして、まだ前のゲームの支配下にあったはずだ!
 オレに対して邪魔しようとしたら、行動制限がかかるはずだろうが!」
ユータ 「あー、厄介だよな、あれ
 確かにオレが直接お前の邪魔をしようと考えたら、行動制限がかかったはずだ」
ナオヤ 「だろうが! でも、なんで……!」
ユータ 「あれな、抜け穴があるんだよ」
ナオヤ 「抜け穴……?」
ユータ 「そ。 多分、現実とゲームをすり合わせる為の緩衝材(カンショウザイ)って所か?」
ナオヤ 「お前、クラスの子に掃除当番頼まれた日の事、覚えてるか?」
ユータ 「掃除当番……?」





回   想

クラスメイト 「あ! ちょっとナオヤくん! 私、この前掃除当番代わってあげたよね?」
ナオヤ 「げ……!」
クラスメイト 「今日、私外せない用事あるから! 任せたわよ、それじゃ!」(退出)
ナオヤ 「マジかよ……」

回  想  終  了






ナオヤ 「あの時か。 でもそれがなんだ!」
ユータ 「ゲームとして考えるとな、あれおかしいんだよ。
 本来、イケメンの告白イベントはオレたちがサトミを尾行した翌日発生するはずだった」
ナオヤ 「あ……」
まとめスレ ・ようこルート
主人公のたけしは幼馴染のようこに好きな男が出来た、という話を聞く。
友人であるまなぶ・めぐみと尾行するとイケメンで有名なひとしの影が。
ようこに言い寄るひとしを見るうちに、たけしにようこへの恋心が芽生える。

その翌日、ひとしがようこに告白する様子をまなぶと目撃してしまう。
焦ったたけしは、その後ようこに告白をすることを決意する。
ユータ 「だが、現実には翌々日(ヨクヨクジツ)に起きた。 翌日はまるで前日の繰り返しのようだった
 じゃぁ、何が原因でイベントが翌々日に繰り上がったんだ?」
ナオヤ 「あ……まさか……」
ユータ 「そう、お前が掃除当番を頼まれたからだ。 それで気付いた。
 このゲーム、ゲームに支配されていない第3者からの干渉を受けてしまう。
 それに気付けば簡単だ。 オレはタナカとフジタに頼んで行動してもらった。
 あいつらは支配されてないからな。 第3者を経由すればお前に干渉出来るんだよ。
 例えば、すりかえたゲームをお前に渡してもらう、とかな?」
ナオヤ 「……」
ユータ 「……これが種明かしの全てだ。 ……ナオヤ、選ばせてやる」
ナオヤ 「……何をだ」
ユータ 「ゲームを止めるか、止めないか
 後で調べりゃわかるが、今のゲーム、お前には悲惨な運命が待っている。
 死にはしないが絶望に落ちきった人生だ。 しかもゲームの支配で自殺も許されない」
ナオヤ 「なんでそれを止めさせようとする。 良いザマだろ? お前から見れば」
ユータ 「お前にムカついているとはいえ、人生を壊すまではしたくねぇよ。
 それに……その。 来週になるとな? お前に届くんだよ」
ナオヤ 「何が……?」
ユータ 「……オレとサトミの、セックスを撮影したDVDだ」
ナオヤ 「っ!?」
ユータ 「ゲームの支配下にある以上、オレはそれを止められない。
 お前も、絶対にそれを見なくてはいけない。 しかも、今後ずっとだ
 サトミも、二人のそんな姿を見せたくないと言ってる……」
ナオヤ 「クソ……」
ユータ 「一晩やる。 ゲームについて調べるでもなんでもして、考えてくれ。
 ……明日、答えを聞く。 それじゃな」(通話が切れる)
ナオヤ 「…… クソ、クソォ…… なんで……なんでだよ……
 なんで、こうなるんだよおぉぉぉぉぉぉぉ!」





サトミ 「……電話、終わった?」
ユータ 「あぁ。 これでナオヤがゲームを止める気になってくれると良いけど……」
サトミ 「でもユーヤ、ウソついたでしょ?」
ユータ 「あぁ?」
サトミ 「別に、私えっち見られてもいいのに……」
ユータ 「オレがヤなんだよ。 他の奴にサトミのえっちな姿見せるの」
サトミ 「……実はさ、さっきのナオヤくんとの電話……すっごく興奮しちゃった♪」
ユータ 「お前な……オレ、そういう性癖はないからな?」
サトミ 「わかってる、ユータの嫌がる事はしないよ!」
ユータ 「……でも、私ならユータが私以外を抱いてるとこ、見てみたいかも……」
テンシ 『よっしゃぁ! それじゃ、私とえっちしようぜぃ!」(出現)
サトミ 「キャッ! テンシちゃん、いきなり現れないでよ!」
ユータ 「天使、お疲れ。 お帰りはあちらだ」
テンシ 「ひどっ! 大任(タイニン)果(カ)たして帰ってきたんだ、ご褒美おくれよぅ!」
ユータ 「うるせー、事後にいきなり乱入してくんな!」
サトミ 「そうだよ、私たちまだ裸だし、シャワーも浴びてないんだから……」
テンシ 「分かった! 私も脱げばいいんだな? クロスアゥッ!」(スポポポーン)
ユータ 「ば、バカ! 何でそうなる!」
サトミ 「わ、わぁ……ホントにおっぱいもおちんちんもついてる……」(チラッチラッ)
ユータ 「お前も指の隙間から覗き見してんな!」
テンシ 「いいからいいから! ほら、3Pすんぞ、3P!」
ユータ 「うるせぇ、黙れ! サトミ、お前も興味深々な顔すんな!」
テンシ 「うるさいなぁ……ほっといて、女同士良い事しよっか、サトミちゃん」
サトミ 「……そだね。 女同士なら浮気じゃないよね!」(いそいそ…)
ユータ 「てめぇは半分男だろうが! それに女同士でも浮気だ!」
テンシ 「まったくもぅ……サトミちゃん、襲っちゃおう!」(ガバッ)
サトミ 「おっけー! テンシちゃん、やっちゃおう!」(ガバッ)
ユータ 「ちょ! ま、待って……止めてえぇぇぇぇ!」





エ  ピ  ロ  ー  グ

テンシ 「……結局、アイツはゲーム止める事を選んだんだね……」
ユータ 「あぁ……自分の将来を考えたのか、サトミの事考えたのかは知らないけどな」
テンシ 「これから、アイツはどうするって?」
ユータ 「流石にオレたちに顔向けできないから、転校するそうだ。
 ……何も知らないまま、3人で過ごせたらよかったのにな……」
テンシ 「……ごめんね、私のせいで」
ユータ 「バーカ、どっちにしろいつか我慢の限界が来てたさ
 でも、一度ぶちまけたからな。 いつか、アイツとも仲直りするさ……」
テンシ 「そっか……」
ユータ 「……本当に、もう帰るのか? 別に、うちに居ても……」
テンシ 「ダメだよ。 目的は果たしたし……
 なんだかんだで、結構直接干渉しちゃったじゃん? お叱り受けなきゃ」
ユータ 「大丈夫なのか? クビになるとか言ってたけど……」
テンシ 「ゲームは取り戻したし、問題も解決したからね。 なんとかなるよ
 ……それに、ユータとサトミちゃんの邪魔、したくないしね?」
ユータ 「テンシ……」
テンシ 「ね。 私天界に帰るけど、キミの事は忘れないから」
ユータ 「あぁ、オレも忘れない……」
テンシ 「いつか、キミが寿命を迎えて天界を訪れるまで、待ってる。
 死んだ後くらいは、サトミちゃんだって許してくれるよね?」
ユータ 「……オレはサトミの為に長生きするからな。 そっち行く頃にはおじいちゃんだぞ?」
テンシ 「大丈夫、天界では年齢なんてないもん。 若返ることだってできちゃう」
ユータ 「そっか」
テンシ 「……最後に、思い出が欲しいな。 少しでも、私の事好きなら……キャッ!」
ユータ 「……」(抱きしめる)
テンシ 「ユータ……」(´;ω;`)
ユータ 「……天界で待ってろ、いつか会いに行く」(キス)
テンシ 「うん……うん!」゚(゚´Д`゚)゚
ユータ <「……これって浮気になんのかな?」/td>
テンシ 「これくらいはサトミちゃんだって見逃してくれるよ、きっと!(ゴシゴシ)
 さ! それじゃそろそろ帰るよ!」(バサッ)
ユータ 「……楽しかったよ、テンシ。 また会おうな?」
テンシ 「私も楽しかった。 次会うまでに、しっかりツッコミ鍛えておきなよ!」(バサッバサッ)
ユータ 「ハハ、お前こそ。 下ネタに頼りすぎると飽きが早いぞ?」(目頭が熱くなる)
テンシ 「分かったよぅ……それじゃね。 ユータ、迎えに行くから!」(飛び去る)
ユータ 「あぁ、待ってる! 待ってろよ、天使!」(ポロポロ涙が)
サトミ 「……お別れは済んだ?」
ユータ 「……あぁ」
サトミ 「もぅ。 泣かないでよ」
ユータ 「泣いてねぇよ、馬鹿」
サトミ 「そ。 じゃ、付き合ってよね」(腕を引っ張る)
ユータ 「お、おい! どこ行くんだよ!」
サトミ 「とりあえず、駅前のパフェかな? 浮気した罰だよ!」
ユータ 「へいへい……仰せのままに」
サトミ 「……死ぬまで、ユータは私のモノなんだから!」





数  十  年  後

ユータ 「……そろそろのようだ」
「おじいちゃーん!」(大泣き)
「ハハ、泣くな……しょうがないんだよ……」
サトミ 「アナタ……」
ユータ 「お前……すまないな、先に逝くよ……」
サトミ 「いいえ……私は幸せでした……
 ほら、笑ってください。 あの子が迎えに来ますよ……?」
ユータ 「そうだな……お前、こっちに来るのはゆっくりでいいからな……?」
サトミ 「あらイヤだ、そんなにあの子とふたり水入らずで居たいんですか?」
ユータ 「ハッハッゲホッ! ゴホゴホ……ハァ、待たせた分はな、お返ししてやらんと」
サトミ 「妬けてしまいますね……ご心配なさらず、私は孫の結婚式に出るまで死にません」
ユータ 「おお、そうかそうか。 是非後でその時の話を聞かせてくれよ……」
テンシ 「……!」(何か言っているが周りにはわからない)
ユータ 「おお……お迎えが、来たようだ……」
サトミ 「そうですか……しばらく、お別れですね……」
ユータ 「あぁ……しばらく、だ。 ゆっくりしてから、こっちに来いよ……」
テンシ 「……!」(何か言っているが周りにはわからない)
ユータ 「では、逝って来るとしよう。 皆、仲良くな……」(微笑む)
テンシ 「ユータ……!」(バサバサバサッ)
ユータ 「あぁ……久しぶりだな、テンシ……」
テンシ 「会いたかった! ずっと待ってたんだからな!」(抱きつく)
ユータ 「待たせたな。 約束、忘れてないぞ?」(抱きしめ返す)
テンシ 「分かってる! よっしゃ、そんならしっかり掴まれ!」
ユータ 「おいおい、乱暴なお出迎えだな。 もう少し丁寧に……」
テンシ 「いっくぞー! しゅっぱーつ!」(バサバサバサッ)
ユータ 「ちょ! スピード落とせ! 落ちるだろうが、この馬鹿!」
「おじいちゃん! おじいちゃん!」
サトミ 「ふふ、あんな楽しそうな顔をして……」
「……あれ? おばあちゃん、この羽根、なんだろ……」
サトミ 「おやおや。 これはね、天使の羽根なんですよ……?」
「天使? おばあちゃん、天使知ってるの?」
サトミ 「えぇ、会った事があるんですよ。 今度お話してあげましょうね……」